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マヤ文明特別講座「マヤ文明の実像と研究最前線」 

マヤ文明特別講座「マヤ文明の実像と研究最前線」  Adobe Stock

マヤ文明は、洗練された「石器の都市文明」であった。それは、今から1万2000年以上前にアジア大陸からアメリカ大陸へ進出した先住民の末裔が、紀元前1000年頃からスペイン人に侵略されるまでの16世紀にかけて、ユーラシア大陸やアフリカ大陸の人々と交流することなく、中米で独自に築き上げた文明である。マヤ人は文字や暦、算術、天文学を高度に発達させ、鉄器や大型の家畜を使わず、石器と人力だけで巨大な神殿ピラミッドのそびえ立つ都市を建造した。 現在、マヤ文明の研究が進展し、石碑などにマヤ文字で記された諸王国の歴史が詳細に解明されてきている。当時の人々の暮らしぶりも具体的に分かってきたが、日本では、その実像はあまり良く知られていない。それどころか、デマや憶測を基に「謎と神秘の文明」などと誤解されている例が多い。本講座では、講師自身の現地調査を含む最新の研究成果を紹介する。マヤ文明の実像に迫り、いわゆる「謎と神秘の文明」という誤ったイメージを一新する。
マヤ文明は広い地域を統治する王が存在したアステカや南米のインカなど他の中南米の文明と異なり、各地に独立した王権が栄える形で発展したことが、2500年以上にわたって文明社会が長続きした理由だった。最大・最古の公共建造物の発見は、こうしたマヤ独特の文明の起源を知る上でも極めて重要と言えるだろう。

 青山和夫(あおやまかずお) 
1962年京都市生まれ。東北大学文学部史学科考古学専攻卒業。ピッツバーグ大学人類学部大学院博士課程修了、Ph.D.(人類学)。茨城大学人文社会科学部教授(マヤ文明学)。1986年からホンジュラス、グアテマラとメキシコでマヤ文明を調査。古典期マヤ人の日常生活と政治経済組織の研究」で日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞受賞。著書に『マヤ文明』(岩波新書)や『マヤ文明を知る事典』(東京堂出版)など。

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